FFHS。「なぜ政府は、2013年から開発を進めていた『FFHS』を使用せず『HER-SYS』を使用したのか」。NHK NEWS WEB 2022年6月21日。

内容

【国の研究班が、新型インフルエンザなど過去の感染症の教訓を踏まえ、新型コロナが国内で感染拡大する7年前の2013年から、HER-SYSとは別のシステム開発を進めていた。

それが「症例情報迅速集積システム=FFHS」。

 

開発の基本的な考え方は、現場の負担を最小限にしながら、必要な情報を正確かつ効率的に集めるというもの。

HER-SYSでは感染者について約120項目の入力を求めていたが、FFHSでは「どの情報が必要か」について自治体などと議論を重ね、患者の年齢、性別や発症日、症状など最小限の18項目に絞っている。

 

更に研究班では2013年からこのシステムを実際に運用してパンデミックの発生を想定した演習を、毎年、複数の自治体と行ってきた。

 

研究班によると、新型コロナの感染拡大が始まったおととし2月、システムを新型コロナ向けに改修するよう、厚生労働省からメールで指示を受けたという事だが、それ以降、連絡はなく、システムが導入されることはなかった。

 

北海道では、開発時に演習訓練に参加していた事などから、去年8月から研究班のシステムを導入し、道庁と道が管轄する26の保健所の間で、患者情報を共有するためのデータベースとして運用している。

 

研究班のシステムでは、基本的な情報に加えて「患者の状況、ワクチンの接種歴、感染経路、変異株の種類」といった、自治体が感染対策を検討する上で必要とする情報も確認できる。

また、入力した内容がデータベースにすぐ反映されるため、迅速に情報を共有する事ができ、現在では道の施策を決めるにあたって必要不可欠なシステムになっている。

 

北海道保健福祉部の人見嘉哲技監は「HER-SYSは項目が網羅的なので、その内容をもとに保健所と情報共有したり、感染対策を考えたりはできていなかった。

患者の人数は増えているのに研究班のシステムでは現場の負担を減らす事ができていて、以前とは状況が天と地ほどに違う。感染対策に取り組むうえで大事な基盤になっている」と話している。】

 

なぜ今回、FFHSが活用されなかったのか?