杉尾議員「日本は欧米に比べれば死亡率が低いですが、東アジアの国の中ではフィリピンに次いで死亡率が高い。
先生は交叉免疫が原因で、東アジア諸国は死亡率が欧米に比べて低く抑えられている、という事なんですが。
もう一つ、陽性率ですが、たしかに今日、280人台という事(都の感染者数)だが、これは単に件数が4000台に乗ったという知事の発言があった。
しかし、検査数が増えて陽性率も上がっているという、これはどういうふうに理解すればいいのでしょうか」
児玉教授「皆様にお配りしております資料の3というページを見てください。
この資料は、東京大学アイソトープ総合センターの協議会のHPにも掲載されておりますので、ダウンロードをしていただいて、閲覧・使用していただいても構わないものであります。
この3のところに出ているのは、クラスターとエピセンターの違いという概念を示しております。
そしてクラスターというのは、外来の感染者が来て、それが最適な条件ではないところで増えていくところに起こるものであります。
それに対してエピセンターというのは、そこで自立的に感染が増えていくという事が起こります。
それでエピセンターになると、どういう事が起こるかというと、一般には感染の経路という事が言われます。
飛沫感染、これは20マイクロメーターぐらいのものが散って、食事の中に落ちる。2mのソーシャルディスタンスを取るという事。
接触感染、これは例えば、消化器に感染して嘔吐物なんかあると、非常に高い。お手洗いの靴の裏などから、感染が広がるといわれている。
ただ、実際にはもう一つ心配なものがあり、実は5マイクロメーター以下ぐらいの粒子でも、空気感染してしまう。
これはガイドラインでは分けられない。
今の精密医療では、感染者の数とスプレッターのような大量排出者がいるかで、この確率が変わってまいります。
例えば電車に乗っても大丈夫というのは、感染者が少なくて排出量が少ないという前提で作られている。
それで、何か事故が起こると『ガイドラインに従ってないからいけない』と言われますが、それはガイドラインというのは感染の状態によって、全く変えないといけない。
ですから『エピセンター化』してしまったら、劇場も電車も危険になってしまう。このエピセンターの制圧というのを、国の総力を挙げてやらないといけないという。
例えば、私どもICUで扱う際には、人工呼吸器を使いますから飛沫します。
それで飛沫するからICUでは普通のマスクではだめです。
だけど普通の劇場でそういうのを期待しないのは、感染者の数も少なくて、しかも交叉免疫もありますから、一定の軽いものであれば、それは大丈夫であろうという、そういう知識に基いてやっております。
それで、エピセンターが一回起こりますと、次5ページを見ていただきたいんですが、制圧には、だいたい20万PCR以上が必要です。」
続く