裁量労働制、異常データについて「大学の博士・修士論文でも、こういう異常値を見逃したら取り消され、指導教授も責任を問われるレベルのミス!」

23日の報道番組から

 

ゴゴスマ」の内容

〈一般労働者のデータに『異常値117件』発覚。

一般労働者のデータ→厚労省が全国1万1575事業所に聞き取り調査したもの。〉

 

教授「たとえば、『1日の残業時間45時間』(と記入されていた事について)。1日は24時間だから、本来、はじくべき数字。(法定労働時間が8時間なので、1日の残業時間は最大16時間)

普通、はじくはずなのに、意図的というか、間違いだということはわかっていて最初に処理する段階で『はじかなければならないもの』をはじいていない。それはもう現場の、やった人間の大きな責任です」

 

教授「例えば博士論文じゃなくて、大学の修士論文でも、調査データを取る院生がいる。こういったものをちゃんとチェックして、もし、修士論文が出たあとでこういうデータが混じっていることがわかれば修士は取り消しですよ。論文としてなっていないわけだから。

だからもうそれは、政府の政策以前に、修士論文とか博士論文でも改ざんがあった云々ではなくて、こういうような異常値を見逃したというだけで、修士とか博士とか普通取り消されますよ。指導教授だってこれは責任を問われますよ。なんでちゃんと指導しなかったのかと。それぐらいのレベルのミスです。

当時の厚労大臣、あるいは課長・課長補佐・局長とかいるかもしれないが、大学での論文指導というレベルで見たって、責任を問われるレベル」

 

コメンテーター「いろいろデータが出てきたときに、精査もしないまま『あ、これ、ちょうど都合がいいからね』と使ったところが、じゃぁ、そこはなぜなのか、そこもミスだったのか。それとも忖度したのか、意図的だったのか、というのがまた、次の問題になってくる。今のデータに関しては、答えた企業にしろチェックする官僚にしろ、どこかでミスがあった」

 

教授「だから本当は、こういう調査を野党が言っているように、ちゃんとやり直しをして正確なデータを改めて‥。だって2013年のデータだから、それからまたいろいろ労働環境が変わっているわけだから、改めてデータを取り直して議論していくというのが本来の在り方だと思う」

 

司会「国会で答えているのは『いえ、もう、データは取らないんです(再調査はしない)』と言っているが、なぜ取らないのか」

 

教授「調査データに関する信頼性も無くなるし、その進め方は強引だと私は思う。ちゃんとしたデータに基づいて国民が理解できるような形で議論するのが本来だと思う」

 

(段ボール32箱分の原票がみつかったことについて)

教授「紙を保管していたから、ボロボロ間違いがみつかってよかった。だから、1万何千票あるというが、例えば大学生で社会調査士という資格がある。そういう大学生が、インターンシップで行って、10人ぐらいでやれば、確認作業は1日で終わりますよ。だって知っていますよ彼らは、社会調査士になる訳だから。『あぁこれは、はずれ値ね』とか。原票チェックなんて、そんなの彼らにやらせれば1日で終わります。それ、やればいいんです」

 

司会「なぜ最初に、原票を徹底的に調べなかったのか、という素朴な疑問があるが」

 

教授「オリンピックで、こういう話がなんとなく扱われなかったから、このまま済んでしまうのかな、というのがあったかもしれない。オリンピックがなければ、もっと前に、大騒ぎになっていました」

 

教授「もう一度、『裁量労働制』はこれからの時代にふさわしいかどうかということをきちんと調査して、調査自体もいい加減だという事がこれで明らかになって、事業所も結構適当につけていた可能性がある訳で(めんどくさい、ということで)、こういう国民的な関心事だという事でもう一度予算を取って、きちんとした調査をやって、与野党で議論をし直せば、もっともっときちんとした『働き方改革』につながると思うので、それは政府の判断だと思う」

 

「ニュース23」の内容

 

過労死遺族が23日夜、加藤厚労相に会って、直接法案の撤回を求めた。

大臣の元を訪れたのは、労働時間を自分で決められるはずの裁量労働的な働き方で、夫や息子、娘を亡くした人たち。

政府がめざす「裁量労働制」に反対する思いを届けた。

 

面会は1時間に及んだが。

 

過労死家族の会代表「厚労相から、裁量労働制についての白紙撤回・削除についての明確な答えはいただけませんでした。納得できません」

 

キャスター「裁量労働制の現場と一般労働の現場の、今の状況を比べても意味がない。

一般労働の現場に「裁量労働制」が導入された時に、その前後を比較しないとだめですね。

それで休みが取りやすくなったとか取りにくくなったとか、労働時間が増えたとか減ったとか、それが議論の土台になるべきですね。

国会の議論の土台を作るのは、政府、厚労省の役割ですから、きちんとしたデータを精査して出してもらいたいと思いますね」

 

異常なデータのまま審議するのは間違っている。

裁量労働制」は過労死を助長するだけだ。

 

出てきた原票を精査するとともに、改めて新しいデータを取り、「働き方改革」の一つ一つについて、もっと丁寧に議論を重ねるべきだと思う。